不動産小口化商品による相続対策は今後どうなる?
相続対策として注目されてきた「不動産小口化商品」について、最近では「将来、相続対策として使えなくなるのではないか」「無効になるという噂を聞いた」といった声を耳にすることがあります。
結論から言うと、現時点で不動産小口化商品が直ちに無効になると決まったわけではありません。ただし、税制改正の議論の流れを見ると、相続税評価の考え方が見直され、節税効果が縮小する可能性は意識しておく必要があります。
本記事では、噂の背景と、想定される税制改正の方向性、相続対策として検討する際の注意点を、できるだけ分かりやすく解説します。
1.不動産小口化商品とは?
不動産小口化商品とは、一つの不動産を複数の持分(小口)に分けて保有・投資できる仕組みの商品です。
不動産を一棟まるごと購入する場合に比べ、比較的少額から検討できる点が特徴とされ、相続対策の一手段として紹介されることもあります。
相続対策として注目されてきた理由の一つは、相続税評価額が、実際の取引価格(いわゆる時価)よりも低く算定されるケースがある点です。
この「評価額と実勢価格の差」が、相続税の負担を抑える効果につながる場合があります。
2.なぜ「無効になる」「使えなくなる」と言われるのか
近年、税制当局は不動産を使った相続税対策全般について、「評価の公平性」という観点から問題意識を強めています。
具体的には、実際の資産価値に比べて相続税評価が過度に低くなり、その結果として相続税負担に大きな差が生じる点が、議論の対象となりやすくなっています。
不動産小口化商品についても、仕組み次第では同様の評価ギャップが生じるため、「今後、見直されるのではないか」という噂につながっていると考えられます。
3.想定されている税制改正の方向性
現時点で確定した改正内容が公表されているわけではありませんが、一般的に議論されやすい方向性としては、次のような点が挙げられます。
相続税評価が時価をより反映する方向へ見直される可能性
従来の算定方法から、実勢価格(時価)をより反映する方向へ評価方法が見直される可能性があります。
評価額と実際の取引価格との差が縮小する可能性
評価額と実際の取引価格の差、いわゆる評価ギャップが縮小されることで、従来期待されていた節税効果が小さくなる可能性があります。
重要なのは、「商品自体が違法になる」「契約が無効になる」という話ではないという点です。あくまで、税務上の評価方法が変わる可能性があるという文脈で語られている話です。
4.いつから変わるのか
税制改正は、年末の税制改正大綱、法案化、国会審議といったプロセスを経て決まります。
そのため、「いつから必ず変わる」と現時点で断定することはできません。
ただし、今後の制度改正リスクを前提に、将来を見据えたシミュレーションを行う重要性は高まっているといえるでしょう。
5.不動産小口化商品は相続対策として使えなくなるのか
仮に評価方法の見直しが行われた場合、これまで期待されていた相続税の圧縮効果が小さくなる可能性はあります。
一方で、不動産小口化商品には、財産を分けやすい、承継設計を考えやすい、収益性や換金性を考慮できるといった側面もあります。
そのため、今後は特に、「節税ありき」で判断するのではなく、相続全体の設計の中で適切かどうかを慎重に検討する必要があります。
6.検討する際に押さえておきたいポイント
不動産小口化商品を相続対策として検討する場合は、次の点を確認しておくことが重要です。
評価見直し後でも保有する合理性があるか
節税効果が縮小した後でも、その商品を保有する意味があるかを検討する必要があります。
相続人間で分割や換金について合意しやすいか
分けやすさがメリットとされる一方で、実際に相続人間でどのように扱うかは事前に見通しておく必要があります。
手数料や売却条件を理解しているか
商品によっては手数料や出口戦略に注意が必要です。換金性も含めて確認しておきましょう。
遺言や他の相続対策と整合が取れているか
相続対策は、税制、家族関係、資産構成によって最適な方向性が大きく変わります。不動産小口化商品だけで完結するものではなく、遺言や他の生前対策とあわせて検討することが重要です。
まとめ
不動産小口化商品が直ちに無効になると決まったわけではありませんが、相続税評価の見直しにより、従来期待されていた節税効果が縮小する可能性があります。
今後は「節税」だけでなく、相続全体の設計の中でその商品をどう位置付けるかがより重要になります。
相続対策を検討する際は、一つの手法に頼るのではなく、遺言書の作成や分割対策も含めて総合的に考えることが大切です。